口ゴボと矯正治療
こんにちは、名古屋市東区のあんどう歯科クリニックです!
ここ最近はコロナ禍の影響で、
マスクをつけて口元が隠れた状態で過ごす時間が増えていますよね。
マスクをすることに慣れてしまい、逆に外すことに抵抗がある…という方も増えているようです。
「マスクを外すと老けて見える」、「顔の印象が変わる」との意見も。
長いマスク生活によって、口元を見る機会が減ったことで、
「以前よりも、自分や周りの人の口元、特に歯並びが気になるようになった」と言われる方もたくさんいるようです。
歯並びが気になる場合には色んなタイプがあると思いますが、
みなさんは、“口ゴボ(くちごぼ)“というものをご存知ですか?
口ゴボ(くちごぼ)ってなに?
・見た目が良くない
さきほども書いたように、
口ゴボが注目されるのは、見た目を損なうから、が原因であることが多いです。
特にお子さんであれば、お友達にからかわれてしまうことも…。
また、口ゴボが良くないのは見た目だけではありません。
口元が出ていて口を閉じにくくなるため、さまざまな弊害が出てしまいます。
・口呼吸になりやすい
口ゴボの人は、口が閉じにくいため、口呼吸になりやすいです。
そうなると、さまざまな影響が出ます。
・虫歯や歯周病のリスクが上がる、口臭もでやすい
口呼吸することによって、唾液が蒸発して口が乾燥しやすくなります。
唾液には雑菌が繁殖するのを防いだり、お口を潤す作用があるため、
口が乾燥しやすくなることで、虫歯や歯周病のリスクも上がりますし、口臭も出やすくなります。
・風邪をひきやすくなる
鼻呼吸をしている人は、鼻粘膜や鼻毛がフィルターの役割をしてくれて、ウイルスや細菌が体内に入りにくいです。
対して口呼吸だと、ウイルスがダイレクトに体内に取り込まれてしまいます。
また、唾液が蒸発して口の中が乾燥しやすいため、雑菌も繁殖しやすくなり、
余計に風邪などの感染症にかかりやすいとされます。
・発音がはっきりしない
舌は発音に対して重要な役割をしています。
鼻呼吸をしている場合、
舌は、上顎前歯の少し後ろにある、上あごの窪みにおさまるのが理想的です。
そうすると、いつも舌を上あご側に持ち上げてる状態になるため、舌の筋力がつきやすいです。
また、正しい位置に舌があることにより、良い歯並びにつながります。
対して、口呼吸をしていると、
呼吸の邪魔になることから、舌を下あご側に置いてしまいます。
そうすると、舌の筋肉がつきません。その結果、舌を上手に動かすことができず、発音が上手くできないことがあります。
口ゴボのお子さんで、発音がはっきりしなかったり、舌っ足らずな感じに聞こえることがあるのは、
舌に筋力がついておらず、しっかり動かすことができないからです。
口ゴボかどうか、どうやって確かめるの?
正面から見て歯並びが良くても、横から見ると口元が前に出っぱっていることもあるため、
口ゴボかどうかの判断には、横顔のチェックが必要です。
自分で口ゴボかどうかを確かめたいなら、“Eライン“を確認してみましょう。
Eライン(エステティックライン)とは、
横顔を見たときに、鼻先とあごの最も突き出た部分を結んだラインのことで、綺麗な横顔の判断基準に使われます。
上下の唇がEラインの内側に入っていれば美しい横顔とされます。
(日本人は、欧米人に比べると鼻が低く、あごの先端が後方にある人が多いので、
上唇はEラインから僅かに後方にあり、下唇はEラインに接するか、僅かに後方にあるくらいが理想的とされています。)
口ゴボの人の唇は、このEラインよりも前に飛び出してしまいます。
Eラインを自分で確認するためには、
鼻の頭とあごの先端に、人差し指やペンなどを当ててみましょう。
もし指やペンが口元にほとんど当たらないようなら、美しい横顔と言えるでしょう。
反対に、上下の唇が指やペンに当たる場合は、口ゴボの可能性があります。
また、横顔を写真で撮って、口元を確認するのも良いですね。
上下の唇がEラインよりも外側に出ているようなら、口ゴボの可能性があります。
どうして口ゴボになるの?
口ゴボになる原因は色々ありますが、
①遺伝、生まれつきの骨格によるもの
②普段の癖によるもの
③アデノイド肥大によるもの
の3つにわけてお話しますね。
①遺伝、生まれつきの骨格によるもの
・上あごが大きすぎる
・下あごが小さすぎる
・上下ともあごが前に出ている など
生まれつき、上下のあごのバランスが整っていない場合や、
・あごのスペースに対して歯が大きすぎる
などの要因があると、
前歯の前突、いわゆる“出っ歯“の原因となり、それにより口ゴボとなってしまうこともあります。
そもそも、多くの日本人の特徴として
・骨格に対して歯が大きい
・特に上あごの前歯が大きい
ことが挙げられます。
そのため、種族的にも”出っ歯“になりやすく、その結果口ゴボにもなりやすいようです。
②普段の癖によるもの
・指しゃぶり
・下唇を噛む
・爪を噛む
・舌で歯を前に押し出す
などの習慣的な癖が原因となります。
あごが発達・成長する時期に、このような癖があると口ゴボになる可能性があります。
また、口呼吸をしていることも口ゴボの原因となることがあります。
実は、「歯並び」と「唇・頬・舌の筋肉の力のバランス」は、とても重要な関わりがあります。
お口周りの筋肉のバランスが良ければ歯並びも良くなりますが、
どれかの力が強すぎたり弱すぎたりして、力のバランスが崩れてしまうと、歯並びも悪くなってしまうことが多いんです。
鼻呼吸をしている場合は、
普段は口を閉じているので、口の周りの筋肉である口輪筋が使われ、唇が外側から歯を軽く押さえる形となっています。反対に口呼吸をしている場合は、
口を開けたままの時間が多くなるため、口輪筋が使われず、唇が歯を外から支える力が弱くなります。
そのため、舌の力が優位になり、歯が外側に倒れやすい、つまり“出っ歯“になりやすくなります。
そうすると、口ゴボになる可能性があります。
③アデノイド肥大によるもの
“アデノイド(咽頭扁桃)“とは、
鼻と喉(のど)の間にあるリンパ組織のことを言い、このアデノイドが大きくなった状態を“アデノイド肥大“と呼びます。
そして、アデノイドが肥大すると、現れるお顔の特徴を“アデノイド顔貌“といいます。
“アデノイド顔貌“には、
・口元が全体的に前に出ている
・下あごが後ろに下がり、あごと首の境目がわかりにくい
・二重あごになりやすい
・丸みを帯びた顔になる
などの特徴があります。
アデノイドは鼻腔と繋がっており、これが肥大することで、口呼吸になりやすくなります。
アデノイドの肥大だけでなく、それに伴う口呼吸が原因となり、この“アデノイド顔貌“になります。
(※アデノイドが肥大していなくても、口呼吸を長期間行うことでお顔の筋力が低下し、その結果、上記のような“アデノイド顔貌“になります。)
口ゴボは、口元がもこっと前に出ているものとされているので、
“アデノイド肥大“も口ゴボの原因の一つとして考えられると思います。
ですが、“アデノイド肥大“の場合は、他にも
・鼻詰まりがする
・中耳炎になりやすい
・いびきがひどい
・睡眠時無呼吸症候群
など別の症状があります。
もし口ゴボの人でこういった症状がある場合は、“アデノイド肥大“の可能性を疑うと良いと思います。
口ゴボは治せるの?
さきほど、口ゴボの主な原因についてお話ししました。
①遺伝や骨格などが原因の場合
骨格や歯の大きさ自体は生まれつきなので、予防することはできません。ですが、治療をすることは可能です。
成長期のお子さんであれば、
骨格の成長を利用して、上下のあごのバランスをある程度整えることもできます。
※骨格的に重度の上顎前突、下顎前突、上下顎前突である場合、治すためには大人になってから外科的矯正をする必要になることもあります。
また成長がとまった大人であれば、
骨格にそこまで大きな問題はなく、歯の並びや大きさが原因で出っ歯になっている場合は、矯正治療が効果的なことが多いです。
ただし、もし骨格に大きな問題があるなら外科的手術が必要になる可能性もあります。
②普段の悪習癖などが原因の場合
予防したり、これ以上の悪化を防ぐことができます。
お子さんであれば、
成長の過程で下記のような癖を改善・修正することで、前突を予防したり、悪化を防ぐこともできます。
・もし口呼吸しているなら、鼻呼吸に直す
・柔らかいものだけでなく、硬いものを食べる習慣をつける
・舌の正しい位置を意識する
・指しゃぶりの癖をなおす
・下唇を噛む癖をなおす
・爪を噛む癖をなおす
今はお子さんの歯並びに問題がなかったとしても、もしこのような癖があるなら、
将来口ゴボにならないためにも、なおしていくことをオススメします!
大人であっても、上記のような悪習癖が続いてるようなら、それを改善することが大切です。それから矯正治療を行うと良いでしょう。
原因を残したまま矯正治療を行っても、後戻りしやすくなるため、
根本的な原因を無くしていく必要があります。
③アデノイド肥大の場合
アデノイド肥大だと、鼻呼吸がしづらいため口呼吸になりやすくなります。
アデノイドは2歳頃から大きくなり6歳頃に最も大きくなりますが、その後、10歳頃までに自然に小さくなっていくことが多いようです。
肥大しているのみで、他に症状が見られなければ経過観察になることも多いようですが、必要があれば耳鼻科にて手術を行います。
歯科医院ではアデノイド肥大自体の治療はできませんが、変化した顔貌や歯並びを治療することはできます。
このように、原因によって治療方法は変わってきます。
ご自分で口ゴボの程度や、何が原因なのかを判断するのは難しいと思いますので、
まずは歯科医院でご相談されることをオススメいたします!
今日は、口ゴボについてお話しました
当院に受診されている患者様でも、
口元が気になる…という方がいれば、スタッフにお気軽に声をかけてくださいね